【サマーヒル通信】としえ先生の理科教室~水の密度の特殊性と分子間力を理解しよう~

スペシャル講師。元青山学院高等部理科教員、としえ先生。物理学修士をお持ちのスーパーリケジョ。

週1回サマーヒルに在室しております。

いつもの生活の小一時間、理科教室を開催してくれます。

この日は「水の密度の特殊性と分子間力を理解しよう」!

どちらの学年に対応する内容かというと、

  • 小4:「水のすがたと温度」
  • 小5:「物のとけ方」「流れる水のはたらき」
  • 中1:「身のまわりの物質」
  • 高1:化学基礎「物質の構成」・「結合とその性質」

このあたりです。なんと幅広い。

これまで、密度とはなにか、密度のちがい、どんな性質があるのかな?そんなことを、気球を作ったり完熟トマト最強決定戦なんかの実験をとおして学んできました。

まずは、これまでのおさらい。

固体、液体、気体の密度の違いを動画で確認。密度は、高い順に固体>液体>気体でしたね。

そんな最強密度の「個体」。

そもそも、どうやって個体ができてるのかというと、分子がたくさん集まっているんですよと!

で。そんな分子と分子の間には、「分子間力」という力が働いて結合する、そんな性質があるのよと。

普段あまり意識することはありませんが、考えてみましょう!

たとえば、、

・紙にペンで文字が書ける

・ヤモリが壁にはりつく

・メイクできる

これらすべて、ボンドや糊でくっついているわけではないでしょう。イメージできますかね。

「文字が書けるのは書けるから」そう回答した生徒がいましたが笑、「書ける」というのは、えんぴつの粉やインクが紙にくっついて色がついているからですね。チョークのほうがイメージしやすかったかなぁ。

それぞれこういうこと👇👇

・紙とペンのインクの分子間力

・壁とヤモリの手足の分子間力

・顔の皮膚と化粧品の分子間力

分子間力は、物体同士の距離が短くなるほど強いつながりになります。

これが物体の普通の密度の大きさの違いです。

しかし!!!!!例外がありまして。水だけは密度の大きさが違うんです。

水の気体=水蒸気が一番密度が小さいのは同様ですが、水の液体=水>水の個体=氷というように液体の水が一番密度が高いんです。

氷は実は、すきまだらけの六角形の構造で、膨らんでいるのですね。

だから、例えばジュースで自家製アイスを作るときに、容器の容量に対して少しジュースの量を減らすでしょう。

氷が融けるにつれて、構造が壊れていくので、水になると密度が高くなるのです。

おもしろい性質ですね。

ちょっと小難しい内容でしたが、ここまで皆渋い顔しながら必死に理解しようとがんばりました!

さてまだ続きますよ。

水は、温度が高くなるにつれ熱膨張し密度が低くなるので、水で、一番密度が高いのは、0℃の水でしょと考えられます。

が!!水で一番密度が高いのは4℃の水なのです。なんで…?どういうこと…????

これは、温度が高くなり氷が0℃で解け始めても、ところどころに六角形の構造が残っていて、温度上昇による熱膨張の効果が現れないためなのですね。

「4℃の水が水の世界では一番密度が高い」

これ、水生生物にとってはとっても重要なことなんです。

凍った湖をイメージしてください。氷の下の水は凍っていませんよね。これは、氷の下は0℃以上でちょっと温かいからですよね。もし0℃の水の密度が一番高かったら、湖は底から凍り付いてしまいます。

ついてきていらっしゃいますか~笑

気温がとても低い土地では、湖の温度はまず水面から冷やされて徐々に冷たくなっていきます。そうして冷えて表面の温度が4℃に到達すると、この状態が一番密度が高い状態になるので、4℃の水は湖の底に沈むんです。表面が次々と4℃に冷やされて沈む、これを繰り返して、湖全体の水が4℃になると、やっと表面が4℃よりも冷えて凍りつくんです。

寒い土地でも水生生物が水の中で生きられるのは、どんなに寒くたって水が凍らないから。

地球にはいろんな奇跡がありますが、これ「4℃の奇跡」よねと思います。

たぶん今回難しかった!!生徒たちの険しい顔が物語っています。

よくがんばりました!

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